一言でいうと
米MBA生向けに書かれた、とっさの場面でもスマートに話せるためのアドリブ力を養成する実践的なガイドです。
概要
不安解消法、完璧主義からの脱却、マインドセット転換といった理論編と、会議での発言、フィードバック、謝罪など、具体的なシチュエーション別の応用編から構成されています。具体的なステップと例文、練習方法も提示されています。聞き方のスキル向上にも触れ、効果的なコミュニケーションのための多様なテクニックが書かれています。巻末には、アドリブで話す際に役立つ型の一覧が掲載されています。
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不安を解消するための方法
不安を解消するための方法として、3つのステップがある。
- どんなコミュニケーションでも人は緊張するもので、アドリブで話そうとすると、なおさら神経がすり減るという常識を再確認する。自分に合った不安への対処法を身につける。以下は例。
- マインドフルネスの実践
- 不安を興奮と捉え直す
- 冷たい物を手に取る
- あめをなめる、ガムを噛むなど
- コミュニケーションへの取り組み方と、自他に対する評価の仕方を見直す。
- 主役は聞き手:相手のニーズに合わせて話を進める
- 「そう、でも」から「そう、それで」へ:相手の発言を認め、そこからさらに発展させる
- 次の一手に集中:過去の出来事にとらわれず、未来志向でいる
- ありのままの自分に:完璧主義を捨て、ありのままの自分でいることを受け入れる
- 心構えを新たにし、リスクを恐れず、ミスをしても「映画のワンシーンの撮り直しみたいなものだ」と気持ちを切り替えられる
アドリブの型
何-それが何-それで何
主に雑談の場面で有効な型。
- まず意見や重要なポイントを明らかにし(何)、
- 次にその情報の重要性を説明し(それが何)、
- 最後に新しい知識に基づく行動を相手に提案する(それで何)
- 最後の部分で相手に問いかけることで、共感や関心を示すこともできる
機会-関係-逸話(または教訓)-感謝
「祝辞・弔辞・紹介」の場面で有効な型
- 集まりの機会に触れ、
- 自分との関係を説明し、
- 印象的な逸話や教訓を披露し、
- 最後に感謝を伝える
- 状況に応じた適切なスピーチを構成することができる。
問題-解決策-利得
「売り込み・説得」の場面で使える型
- 自分と相手に共通する問題や課題を提起し、
- 具体的なステップやプロセス、製品、メソッドを解決策として提示し、
- 解決策に付随する利得を説明する。
答え-例-価値
「質疑応答」の場面で効果的な型
- まず、質問に対する答えを一言で明確に言い切り、
- 次に、答えを裏付ける具体例を挙げ、
- 最後に、自分の答えが質問者に提供する価値を説明する
4つのK
「フィードバック」をする際に役立つ型
- 気づき:具体的な行動や状況について指摘する
- 考え:それに対して自分がどのように考えたかを説明する
- 協力:相手の改善のために協力できることを提示する
- 効果:改善することでもたらされる効果を説明する
SOS
「謝罪」の場面で適切な型
- 責任:相手を怒らせた行動を明らかにし、その責任を認める
- 思いやり:自分の言動によって傷ついた相手を思いやる
- 措置:善後策となる措置を説明する
急に意見を求められた時、頭が真っ白になってしまう。どうすれば良い?
落ち着いてCALMを実践する。
- C (気持ちを落ち着ける):深呼吸をして、心拍数を落ち着かせる。
- A (態勢を整える):事前に準備しておいた言葉や質問を活用し、状況を把握する。
- L (論理的に考える):最悪の事態を想定し、冷静に状況を分析する。大抵の場合、恐れるほど深刻な事態にはならない。
- M (つなぎ言葉を減らす):「えーっと」「あのー」などのつなぎ言葉を使うと、余計に焦るので、意識的に減らすようにする。
難しい質問をされた時、うまく答えられないのが怖い
完璧な回答を求めるのではなく、「UNLOCK」の考え方で、心のハードルを下げてみる。
- U (「優秀」であることを手放す):正解や完璧な回答は存在しない。まずは、相手に必要な情報を与えることを意識する。
- N (近道は必ずしも最適ではない):すぐに答えようとするのではなく、相手の意図を理解するために質問をしたり、じっくり考える時間を与えてもらう。
- L (「あてはまる」という感覚):自分の経験や知識を関連付けて、状況に合った回答を導き出す練習をする。
- O (オープンマインド):新しい視点や考え方を取り入れる柔軟性を持つ。
- C (創造性):型にはまらない、自由な発想を大切にする。
- K (完璧でなくても良い):完璧主義を捨て、失敗を恐れずにチャレンジする。
人前で話す時に緊張してしまう。どうすればリラックスできるか?
「REDEFINE」のポイントを意識する。
- R (役割の再定義):自分を評価するのではなく、聞き手に役立つ情報を提供することに集中する。
- E (状況の再定義):緊張する場も、学びと成長の機会と捉える。
- D (定義の再定義):コミュニケーションは共同作業であり、聞き手もスムーズなやり取りを望んでいることを理解する。
- E (エラーの再定義):失敗は成長の過程であり、次に活かすための貴重な経験である。
- F (焦点の再定義):自分ではなく、聞き手や会話の内容に意識を向ける。
- I (アイデンティティの再定義):自分の個性や強みを活かし、自然体でコミュニケーションをとることを意識する。
- N (「ノー」の再定義):困難な状況も、新たな可能性を発見するチャンスと捉える。
- E (期待値の再定義):完璧を目指すのではなく、その場で最善を尽くすことを目標にする。
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著者が言いたいこと
アドリブ力は訓練によって向上させることができるということを主張しています。書籍内で紹介されたスキルを実践し続けることで、落ち着いて対応できるようになると述べています。本書で学んだことを出発点として、読者が継続的にアドリブ力を磨いていくことを推奨しています。
- アドリブ力を向上させるには、意識的に練習の機会を作る必要がある。
- 習ったスキルやテクニックを試すために、社交の場へ積極的に参加することが重要。
- レッスンを受けたり、オンラインコースを受講したりするのも有効な手段。
継続的な努力によって、誰でもアドリブ力を身につけることができる。
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